情報

 

 

2016

 

日本と外国の小学生の共同制作による壁画の展示 (ユネスコ・アートマイル壁画展、2016121216日)

 

 

「ユネスコ・アートマイル壁画展」(ジャパン・アートマイル主催)がユネスコ本部にて開催されました。同団体は、日本と海外の学校が、ICTを活用して共通のテーマで協働学習を行い、学習の成果として1枚の壁画(1.5m×3.6mの大型絵画)を共同制作するというプロジェクトを進めています。
そのうち、今回は、日本と6カ国(仏、インドネシア、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、タイ)の小学生による壁画10点が展示されました。開催中は、ボコバ事務局長をはじめ、ユネスコ職員や各国代表部大使など、多数の方々が来観しました。

初日の12日には、各国代表部大使やユネスコ事務局幹部などを招待して、オープニング・レセプションが行われました。佐藤地 ユネスコ日本政府代表部大使からは、本展示会は、ユネスコの推進するESD(持続可能な開発のための教育)を実践するものであることから、ここでの開催は非常に意義深いとする開会あいさつを行いました。続いて、塩飽隆子ジャパン・アートマイル代表、チョイ・スー・ヒャン ユネスコ教育局部長、さらには今回の共同制作に関係した6カ国の代表よりスピーチが行われました。


出席者は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている和食や日本酒を堪能しつつ、壁画を鑑賞し、教育分野での日本の取組について理解を深めてもらう良い機会となりました。

 

(左)タイとの共同作品 (右)インドネシアとの共同作品 ニュージーランドとの共同作品

(左)タイとの共同作品 (右)インドネシアとの共同作品

ニュージーランドとの共同作品

仏との共同作品 パキスタンとの共同作品

仏との共同作品       

パキスタンとの共同作品 

作品を鑑賞する出席者 作品を鑑賞する出席者

作品を鑑賞する出席者

佐藤大使スピーチ 和食・日本酒を堪能する出席者

佐藤大使スピーチ

和食・日本酒を堪能する出席者

 

 

文化事業「創造都市国際交流事業 日本へのクリエイティブな旅」 (2016年10月17~21日)

 

 

ユネスコの創造都市ネットワーク事業に関する文化イベント「日本へのクリエイティブな旅」が、ユネスコ本部にて開催されました(主催:創造都市国際交流実行委員会(会長:松浦晃一郎・前ユネスコ事務局長))。


本イベントは、日本の都市の紹介と、都市の交流により国際的なネットワークの構築を図ることで、文化産業の更なる発展を促すことを目的とするものです。

 

【参加都市・団体】
・札幌市(メディア・アーツ)、鶴岡市(食文化)、金沢市(クラフト&フォークアート)、浜松市(音楽)、神戸市(デザイン)、山形市(映画)、アンギャン=レ=バン市(メディア・アーツ)の展示
・北海道庁による縄文遺跡群の展示
・バーチャル・シンガー「初音ミク」(クリプトン・フューチャー・メディア、札幌)、(株)河合楽器製作所の楽器(浜松)、池坊華道会の生け花、橋本心泉氏の日本画の展示

 

17日のオープニング・セレモニーでは、冒頭、松浦晃一郎・実行委員会会長(前ユネスコ事務局長)のごあいさつに続き、ユネスコのボコバ事務局長及びシマター総会議長より祝辞をいただきました。
佐藤地ユネスコ日本政府代表部大使からは、「今回の事業を契機として、国際社会において、多くの都市が異文化対話や、市民の文化への参画に積極的に取り組まれることを期待しています」とのあいさつを行いました。
また、芸妓による日本舞踊(金沢市)、河合楽器のピアノを用いた演奏(海老彰子氏)、和菓子作りのデモンストレーション(鶴岡市)、呈茶(裏千家)などが行われました。

 

また、本イベントの一環として、18日にはシンポジウムも行われました。松浦会長、ロスラー・ユネスコ世界遺産センター所長によるスピーチに続き、各都市の魅力を紹介するプレゼンテーション、パネル・ディスカッション(※)が行われました。


※パネリスト:木曽功氏(元ユネスコ日本政府代表部大使), バックス・ユネスコ文化局プログラム専門官, ロラン・アンギャン=レ=バン市メディア・アーツ担当局長
司会:荒田明夫・桜美林大学教授

 

(参考)
ユネスコ「創造都市ネットワーク」は、文化を通じた都市の国際的な連携によって、文化産業の活性化による都市の持続的な発展を目指すものです。現在、我が国からは7都市(札幌市、鶴岡市、金沢市、浜松市、名古屋市、神戸市、篠山市)が加盟しております。


※文部科学省 HP:http://www.mext.go.jp/unesco/006/1357231.htm

展示の様子 展示の様子

展示の様子

日本舞踊

ボコバ事務局長スピーチ(オープニング・セレモニー)

日本舞踊 (オープニング・セレモニー)

和菓子作りデモンストレーション(オープニング・セレモニー) 各市によるプレゼンテーション (シンポジウム)

和菓子作りデモンストレーション(オープニング・セレモニー)

各市によるプレゼンテーション (シンポジウム)

 

 

 

 

第200回ユネスコ執行委員会(2016年10月4~18日)

 

 

 

10月4~18日、ユネスコ本部にて第200回ユネスコ執行委員会(※)が開催されました。7日に行われた執行委員会の全体会合では、ボコバ・ユネスコ事務局長の開会演説に続いて、各執行委員国のスピーチが行われました。佐藤地・日本政府代表部大使からは、最近のユネスコの活動や、教育、科学、文化の各分野における我が国の取組に言及しつつ、加盟国間の友好と相互理解が促進されるよう、引き続き貢献していきたいとするスピーチを行いました。
執行委員会では、ユネスコの次期二カ年事業・予算(2017-2018,39C/5)の策定をはじめ、各分野の事業・行財政事項について活発な議論が行われました。
また、今回の執行委員会では、8~9日、パリ郊外のシャンティイ(Chantilly)にて大使級のリトリート会合が開催され、各国大使が出席し、ユネスコの将来の方向性を中心とする議論が行われました。

※ 執行委員会:ユネスコの事業や予算を検討するため、年2回、195か国から選出された執行委員国(58か国)の代表が集まり、議論を行う。我が国は1951年のユネスコ加盟から、継続して委員国を務めています。

  

議場の様子 佐藤大使

議場の様子(全体会合)

(© UNESCO / A. Dunasovs)

佐藤大使スピーチ

(© UNESCO / A. Dunasovs)

ボコバ事務局長スピーチ ウォーブス執行委員会議長

ボコバ事務局長スピーチ(左)

(© UNESCO / A. Dunasovs)

ウォーブス執行委員会議長

(© UNESCO / A. Dunasovs)

リトリート会合 リトリート会合

リトリート会合(於:パリ郊外のシャンティイ) (© UNESCO / A. Dunasovs)

 

 

 

 

日本文化紹介「クールジャパン『祭』~日本の美と心の再発見~」 (2016年9月21日)

 

 


本願寺文化興隆財団の主催による文化イベント「クールジャパン 『祭』~日本の美と心の再発見~」が、ユネスコ本部にて開催されました。本事業は、昨年5月の「クールジャパン・日本人の知恵」に続いて企画されたもので、祭コンサート、基調講演(大谷暢順・本願寺文化興隆財団理事長)、十二単ショー、日仏有識者シンポジウム(※)が行われました。


また、閉演後には、日本酒の試飲会、日本への観光プロモーションなども実施され、ユネスコ各国大使やフランス市民などで大盛況となりました。


※日仏有識者シンポジウム


パネリスト:クリストフ=ジラール・パリ4区長, ステファン=マルタン・国立ケブランリ美術館館長, 杉浦勉パリ日本文化会館館長, 石井リーサ明里・照明デザイナー


コーディネーター:レジス=アルノー・フィガロ紙記者


ユネスコ関係者や一般市民など多数の出席者を得て大盛況となりました。


十二単ショー 大谷暢順理事長による基調講

十二単ショー

©本願寺文化興隆財団

大谷暢順理事長による基調講

©本願寺文化興隆財団  

祭コンサート 大谷暢順理事長による基調講

祭コンサート

©本願寺文化興隆財団

大谷暢順理事長による基調講
©本願寺文化興隆財団

日本酒を堪能する来場者 プロモーション会場の様子

日本酒を堪能する来場者 ©本願寺文化興隆財団

プロモーション会場の様子

©本願寺文化興隆財団

 

 

 

文化事業「創造都市国際交流事業 日本へのクリエイティブな旅」

 

 

今月17日(月)~21日(金)、ユネスコ本部にて、ユネスコのプロジェクトの一つである創造都市ネットワークに関する文化事業「創造都市国際交流事業 日本へのクリエイティブな旅」(主催:創造都市国際交流実行委員会(会長:松浦前ユネスコ事務局長)が開催されます。

 

展示
日時:10月17日(月)~21日(金)(但し、17日は15:00から、21日は14:00まで)
会場:ユネスコ本部フォントノワ庁舎(セギュールホール、ミロホール、パ・ペルデュホール)
入場:無料(要ID)

 

○シンポジウム
日時:10月18日(火)13:30~16:00
会場:ユネスコ本部フォントノワ庁舎(ルームⅣ)
(冒頭、松浦前ユネスコ事務局長のKey Note Speechが行われる予定です。)
要予約(当日はIDをお持ちください):
creativetraveljp2@gmail.com(創造都市国際交流実行委員会)
入場:無料

 

(参考)
○本事業に関するチラシ(英語)
○文部科学省HP(ユネスコ創造都市ネットワークについて)
http://www.mext.go.jp/unesco/006/1357231.htm


   

 

 

 

日本文化紹介事業「クールジャパン 祭 ~日本の美と心の再発見~」

 

 

9月21日(水)、ユネスコ本部にて、本願寺文化興隆財団と当代表部の共催事業「クールジャパン 祭 ~日本の美と心の再発見~」が開催されます。本事業では、祭コンサート、十二単ショーによる日本文化体験、大谷暢順 本願寺文化興隆財団理事長による基調講演、日仏有識者シンポジウムが行われます。また、閉演後には、インバウンド観光、日本酒・伝産品当のプロモーションとして日本酒の試飲や各ブースでの商材の展示、コンテンツ上映等も実施されます。


日時:2016年9月21日(水)18:30~21:30(17:30分開場)


会場:ユネスコ本部フォントノワ庁舎第二会議場(125, avenue de Suffren 75007 Paris)


入場:無料(要身分証明証)


要予約:cooljapan21@artsite.co.jp


関連HP(本願寺文化興隆財団):http://honganjifoundation.org/international/cool_japan_fr_sister_cities_matsuri/index.html


   

 

 

 

ル・コルビュジエ財団主催レセプション(2016年7月19日) (世界遺産登録記念)

 

 

世界遺産委員会で「ル・コルビュジエ建築作品」の世界遺産登録が決定したことを受け、7月19日、登録された建築物の一つであるラ・ロッシュ邸(パリ16区)に関係各国が招待され、レセプションが開催されました。

 

国立西洋美術館が登録された日本からは、石山和幸登録推進委員会会長、木下えつき台東区議会議員、佐藤地ユネスコ大使ほか、関係者が出席しました。

 

本レセプションでは、仏のアズレイ文化・コミュニケーション担当大臣が自ら出席し、「本機会に各国代表にご出席いただくことは、ル・コルビュジエ建築作品の普遍性を示している。また、仏国内のテロ事案の発生やトルコでのクーデター未遂など困難な状況下での登録であったが、文化はそれに屈するものではない」と、祝辞と力強いメッセージを述べました。また、ル・コルビュジエ財団のピコン会長や各国代表のスピーチが行われ、佐藤大使からは、「今回の申請に向けた取組で中心的役割を果たした仏に謝意を表明するとともに、作品群の適切な保存と次世代への継承に向け、引き続き各国と協力して取り組んでいきたい」と述べました。


佐藤大使スピーチ

(左:アズレイ仏文化大臣、右:ピコン財団会長)

世界遺産登録を喜ぶ出席者

 

 

 

 

国立西洋美術館など「ル・コルビュジエ建築作品」の世界遺産登録

 

 

登録決定の瞬間 

2016年7月17日、トルコのイスタンブールで開催された第40回ユネスコ世界遺産委員会において、我が国政府が、フランスを含む6か国と共同で世界遺産に推薦していた「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」が世界遺産に登録されました。この中には、我が国の国立西洋美術館をはじめ7カ国17の作品が含まれています。

登録決定の瞬間  

 ※ル・コルビュジエの建築作品


スイスで生まれ、主に仏で活動したル・コルビュジエは、20世紀の近代建築運動に多大な影響を及ぼした建築家の一人であると言われています。我が国は、仏、スイス、独、ベルギー、アルゼンチン、インドとともに、国立西洋美術館(東京都台東区)を含む計17の「ル・コルビュジエ建築作品」を世界文化遺産に共同で推薦しました。イスタンブールで開催された第40回世界遺産委員会において、「人類の創造的才能を表す傑作であり、20世紀における世界中の近代建築運動に大きな影響を与えた」ことなどが評価され、7月17日、登録が決定しました。今回の登録で、日本の世界遺産は計20件となりました。

 

(関連リンク)


「ル・コルビュジエの建築作品」(国立西洋美術館)世界遺産登録に当たっての総理メッセージ


「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(外務大臣談話)


「ル・コルビュジエの建築作品」世界遺産一覧表への記載決定に当たっての馳浩文部科学大臣談話

 

 

 

女性の政治参画推進のためのプログラム-JFIT(日本の信託基金)による支援

 

2016年6月28日、ユネスコ本部で「政治における女性の数-モロッコとチュニジアの経験」と題したシンポジウムが行われました。これは、女性の地位向上に積極的に取り組む二つの国を例に、選挙制度改革など、女性の地位向上のための政策の効果を研究し、今後の取り組みを話し合うものです。なお、本事業は、日本の信託基金であるJFITにより実施されています。


同会議には、モロッコ大使など両国関係者のほか、ジェンダー問題の研究者、政府関係者、NGOなどが参加し、熱心な議論が行われました。また、佐藤ユネスコ大使が日本の取り組みを紹介したほか、女性問題を重視するボコバ事務局長もユネスコの取り組みとともに、日本の支援に対して謝意を述べられました。

 

モロッコとチュニジアにおいては、2011年以来の選挙制度改革などにより、国会における女性議員の比率が飛躍的に向上して、その割合はモロッコ17%、チュニジア31%と両国とも5年間でおよそ10%上昇し、中東地域における女性の政治参画の先駆者といえます。一方、同会議においては「いまだに女性は補佐的な役割にすぎない」、「政党内に女性部署を設けると、かえって女性が阻害されるおそれがある」、「家長制度から来る社会構造が女性の参画の障壁になっている」といった発言がなされ、課題も浮き彫りになりました。


今後の取り組みとして、①地方議会や政党に女性の参加者を増加させ、裾野を拡大する、②経験が不足している女性政治家への支援、③保育所など女性が政治参加しやすくするための環境整備、④女性に不利となる公募条件の撤廃、などが挙げられました。また、民間企業でも女性が働きやすい環境を整備することが人々の意識を変え、男女平等政策に繋がるという共通の認識が得られました。

 

今後、本事業の成果が多くの国において研修プログラムなどに活用され、女性の政治参加が一層進展することが期待されます。

ボコバ事務局長(中央) 

終了後、参加者と記念撮影

ボコバ事務局長(中央)

終了後、参加者と記念撮影

シンポジウムの模様

佐藤ユネスコ大使(中央)

シンポジウムの模様

佐藤ユネスコ大使(中央)

ユネスコの関連ページ: イベントに関するお知らせ
http://en.unesco.org/events/counting-women-politics-experiences-morocco-and-tunisia

 

ユネスコとジェンダー
http://www.unesco.org/new/en/unesco/themes/gender-equality/

 

 

 

 

日本文化紹介事業(真(ま)葛(くず)焼(やき) 講演会及び特別記念茶会:2016年6月16~18日)

 

 

 

江戸時代より続く京焼の窯元である宮川香齋氏がパリを訪れ、パリ日本文化会館にて、「講演会」と、実際に真葛焼の茶碗を使用した「特別記念茶会」が開催され、各国ユネスコ代表部大使などが出席しました。


16日の講演会では、杉浦館長のご挨拶に続いて、佐藤大使より、「真葛焼に見られる洗練された豊かな日本文化を紹介する機会が得られたことは大変光栄である」とする祝辞を述べました。宮川香齋氏からは、京焼・真葛焼の歴史と特徴などについてお話がありました。また、同日夜、本講演会に出席した各国ユネスコ大使を佐藤大使公邸に招待して、宮川真一氏の解説により、真葛焼の作品の鑑賞会が行われました。


18日の特別記念茶会では、参加者は真葛焼の作品を鑑賞した後、宮川香齋氏による茶の湯レクチャーとともに、実際に真葛焼の茶碗を使用して、抹茶と和菓子を堪能しました。

 

 

真葛焼作品

 

 

16日:講演会

講演会場の様子 (写真提供:パリ日本文化会館) 

佐藤大使の祝辞 (写真提供:パリ日本文化会館)  

 

 

16日夜:大使公邸での鑑賞会

参加者との記念撮影

宮川真一氏とベトナム大使

 

18日:特別記念茶会

お茶を堪能する各国大使 (写真提供:パリ日本文化会館) 佐藤大使と宮川氏他との記念撮影 (写真提供:パリ日本文化会館)

 

 

 

「日本の夕べ」レセプション(第199回ユネスコ執行委員会)(2016年4月8日)

 

 

 

第199回ユネスコ執行委員会の開催時期を捉え、4月8日ユネスコ本部にて、当代表部主催の「日本の夕べ」レセプションが開催されました。本レセプションでは、各国大使やユネスコ事務局幹部など多くのユネスコ関係者が出席し、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食や日本酒を堪能して交流を深める良い機会となりました。

佐藤大使とエンギダ事務局長補 

佐藤大使と各国大使ら

佐藤大使とエンギダ事務局長補

佐藤大使と各国大使ら

和食・日本酒を堪能する出席者

 

 

 

 

第199回ユネスコ執行委員会(2016年4月4~15日)

 

 

4月4~15日、第199回ユネスコ執行委員会(※)が開催されました。7日に行われた執行委員会の全体会合では、ボコバ・ユネスコ事務局長の開会演説に続いて各執行委員国のスピーチが行われ、佐藤大使は、教育、科学、文化の各分野における重要事項と日本の取組、アフリカ開発やジェンダー分野への取組などについてスピーチを行いました。執行委員会では、教育、科学、文化の各事業や、行財政事項について活発な議論が行われました。

 

※執行委員会:ユネスコの事業や予算を検討するために年2回、195か国から選出された執行委員国(58か国)の代表が集まり議論を行う会議。我が国は1951年のユネスコ加盟から継続して委員国を務めています。

 

佐藤大使

ボコバ事務局長

佐藤大使スピーチ         
© UNESCO / A. Dunasovs                      

ボコバ事務局長スピーチ   © UNESCO / A. Dunasovs

執行委員会議長(ドイツ大使)© UNESCO / A. Dunasovs              

議場の様子(全体会合)© UNESCO / A. Dunasovs              

 

 

 

 

 

 

2016年3月30日: 略奪された文化財の不正取引防止について(ユネスコ本部で円卓会議を開催)

 

近年、テログループの中東における文化財の破壊が深刻である。世界を震撼した2015年8月のシリアのパルミアの神殿破壊は、まだ記憶に新しい。国連安全保障理事会も、博物館などから文化遺産を略奪し、密輸していることがテロリストの資金源になっていることを懸念しており、ユネスコ及び関連機関に防止するための適切な措置を講じることを求めている(2015年2月の決議2199号)。

 

ユネスコでは「文化財の不法輸出入等禁止条約(1970年条約)」を基に関係機関(※)と協力して、イラク、シリア、リビア、イエメンなどの紛争地の文化財の流出防止に取り組んでいる。しかし、近隣国のトルコ代表団によれば、約7千点のシリアの文化財を国境で抑えており、紛争地の文化財流出問題はさらに深刻化している。

 

こうした状況を背景に、3月30日、文化財の不正取引防止を考える円卓会議がユネスコ本部で開催された。会議には、政府代表団のほか、博物館館長、美術品取引の関係者、考古学者や国際法学者らが一同に会し、「不正取引における通過国、美術商の役割」や、「アート市場における統一した規制やオンライン売買への取り組み」といったテーマで熱心な議論が展開された。

 

特に、イラクのバシュラ博物館館長が「人々の生活があまりに貧しく、近所の考古学サイトから遺産を持ち出して売り出してしまう。こうした人々にこの遺産の大切さを教えていくことから始めなければならない」と語ったのが印象的であった。

 

※ 国際刑事警察機構(INTERPOL)、国際博物館会議(ICOM),世界税関機構(WCO)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)など
参考:「文化財の不法輸出入等禁止条約(1970年条約)」

正式名称は「文化財の不法な輸入、輸出及び所有件移転を禁止し及び防止する手段に関する条約」。

 

自国の領域外に輸出される文化財について、当該文化財の輸出が許可されたものであることを示す輸出証明書を添付することとし、輸出証明書が添付されない限り、当該文化財が自国の領域外に輸出されることを禁止する輸出規制や、他の締約国の博物館等から盗取され目録記載された文化財の輸入を禁止し、そのような文化財が自国内に持ち込まれてしまった場合には、当該文化財の回復及び返還について適当な措置をとることとする輸入規制等を定めている。


 

 
     写真: 円卓会議の模様    

関連リンク:


http://www.unesco.org/new/en/culture/themes/illicit-trafficking-of-cultural-property/meetings/art-market-round-table/ 文化財不正取引に関する円卓会議(ビデオストリーミング)

 

http://www.unic.or.jp/texts_audiovisual/resolutions_reports/sc/resolutions/page/2/ 安全保障理事会決議 2199 

 

安全保障理事会決議 2199日本語訳 http://www.unic.or.jp/files/s_res_2199.pdf

     

     

 

 

 

神戸大学のユネスコ教育プログラム(2016年3月)

 

 3月8日、神戸大学国際文化学部の学生・院生15名が坂井一成教授とともにユネスコを訪問し、ユネスコ事務局の協力を得て、文化多様性条約を題材にした文化政策・国際機関の在り方の理解のための演習を行いました。


学生・院生は文化多様性条約に関するユネスコ文書を事前に予習した上で、ユネスコの担当職員から、同条約の目的、意義、経済や文化生活との関連性についての説明を聴取し、グループ・ディスカッションを行いました。また、文化多様性と維持可能な発展に関連する最新の課題についても、文化多様性条約採択10周年を記念して昨年末に出版された「グローバル・モニタリング・レポート」の資料を基に活発な議論を行いました。


このように、事前に学生側において十分な準備を行った上でのユネスコ訪問は、国際機関の業務や条約の意義・役割をより深く理解することができ、教育効果の高いものとなりました。

参考:文化多様性条約は、正式名は「文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約」。各国が固有の文化表現の多様性を保護・促進するための文化政策を打ち出すことを奨励し、文化産業商品や文化サービスは経済的な価値だけでなく、文化的価値のある二重性をもつ特別なものであることを、国際的に認める条約です。2005年に採択し、2007年に発効。現在は世界141カ国とEUが締結しています。日本は未締結。

http://en.unesco.org/creativity/first-global-report-evaluating-impact-convention-protection-and-promotion-diversity-cultural

 

文化財保護のための新しいエンブレムが採択(ハーグ条約締約国会議:平成27年12月8日~12月11日)

 

 

下記の青いマークに見覚えがあるでしょうか?これは、ブルーシールド(青い盾)といって、戦争時に赤十字印の救急車が射撃を受けないのと同じように、戦時に攻撃をしてはいけない文化財(例えば、教会、美術館、図書館や考古遺跡など)に付する印です。これはユネスコの文化条約の一つである「武力紛争の際の文化財の保護に関する条約(以下「ハーグ条約」)」の元で作られた、保護の対象を識別するための特殊標章です。

 

日本も批准している、ハーグ条約の第2議定書には、一定の条件を満たした文化財を国際リストに登録し、より厳格な保護下に置こうという「強化保護」という仕組みがあります。12月の締約国会議にて、この「強化保護」に登録された文化財につける新たな印が採択されました。このエンブレムは、既存のブルーシールドを赤く縁取り、軍隊や紛争者に「攻撃してはいけない」と知らせる目的で見やすいことで選ばれました。

 

なお、「強化保護」を受けた文化財に対する攻撃、軍事使用は禁止され、これが破られた場合は、違反者を処罰することができる法的整備を行っておくことが、締約国には求められています。

ドレスデン市庁舎に付されたブルーシールド(既存の標章)(写真提供:藤岡麻理子横浜市立大学特任助教)

 

http://www.unesco.org/new/en/culture/themes/armed-conflict-and-heritage/

 

 

参考:

 

 ユネスコを事務局とする「武力紛争の際の文化財保護に関する条約」は第二次世界大戦後の多くの文化財破壊を受けた反省の元に1954年にハーグで採択され、現在では124カ国(日本は2007年に条約と二つの議定書を同時に批准)が締結しています。

 

 その第一議定書は占領下にある文化財の保護や管理、また、占領地域から流入した文化財の返還義務などに関する規定があり、101カ国(2015年12月現在)が締結しています。

 

 その第二議定書は1980年~1990年代の東欧の紛争などを受けて多くの文化財破壊が防げなかったことからハーグ条約を補完・強化する目的で1999年に作られました(2004年に発効)。非国際武力紛争にも適用され、新たに「強化保護」という制度が設けられたほか、違反者に対する刑事責任なども規定されました。批准国は68カ国(2015年12月現在)です。

emblem
  「強化保護」の新しいエンブレム

 

 

 

 

2015年12月14日: ユネスコ・アジア太平洋グループ(ASPAC)主催
   レセプション「ASPACイブニング」

 

12月14日、ユネスコ本部において、アジア太平洋地域(ASPAC)に所属するユネスコ加盟国によるASPACイブニング・レセプションが開催され、ユネスコ事務局幹部や各国代表部大使などが出席しました。24カ国がそれぞれ自国料理を提供し、我が国からはお寿司、日本酒、いちご大福などを提供して大盛況となりました。また、各国の舞踊や音楽などのパフォーマンスが行われ、ASPAC各国の文化を堪能して交流を深める良い機会となりました。

 

 

 

各国の料理(マレーシア、フィリピン、タイ、イランなど)

お寿司コーナー お寿司コーナー

お寿司コーナー

各国によるパフォーマンス 各国によるパフォーマンス

各国によるパフォーマンス

 

 

 

1113日(金): 裏千家 千玄室大宗匠によるお茶会
(ユネスコ創設70周年記念行事)

 

 

11月13日(金)、ユネスコ本部にて、我が国のユネスコ親善大使である裏千家利休居士第15代前家元 千 玄室大宗匠によるお茶会が開催され、ボコバ事務局長をはじめとするユネスコ事務局幹部、中国やフランスなど各国代表部大使など約100名が出席しました。大宗匠は、「一碗からピースフルネスを」という言葉を提唱され、茶道文化を広め、世界平和の実現に向け、国内外において活躍されています。


冒頭、ボコバ・ユネスコ事務局長、及び佐藤大使のスピーチが行われました(参考1、2)。次に、大宗匠により献茶式が行われ、「ユネスコ創設70周年記念」の掛け軸代わりのスクリーンに対して、一碗のお茶を献じられて世界平和を祈念されました。続いて、大宗匠がスピーチされた後(参考3)、出席者全員に対して呈茶が行われ、和やかな雰囲気のもと、本イベントは終了しました。

 



大宗匠による献茶式

© UNESCO

大宗匠による献茶式

© UNESCO

大宗匠による献茶式

大宗匠の御挨拶© UNESCO

出席者への呈茶© UNESCO

大宗匠の御挨拶  

出席者への呈茶

ボコバ事務局長の御挨拶

© UNESCO

佐藤大使の御挨拶

© UNESCO

ボコバ事務局長の御挨拶 

佐藤大使の御挨拶

会場の様子

© UNESCO

会場の様子

会場の様子

【参考】
1.ボコバ・ユネスコ事務局長スピーチ概要
(1)今日、人道主義的ヴィジョンが緊急に必要であり、急速な変化する時代にあって、平和とは我々一人一人が、日々の生活の中で、他者或いは世界に対する尊敬と理解とともに持つべき心である。
(2)それは、日本の茶道と千玄室大宗匠によって体現されていると考えており、ユネスコ創設70周年という特別な年に、同氏をお招きすることは非常に光栄である。
(3)大宗匠は、2012年3月にユネスコ親善大使に就任された。平和への誓いとともに、世界中でユネスコのメッセージを伝えていただいていることに、改めて御礼申し上げる。
(4)第38回総会期間中、今回のお茶会を開催することには大きな意味がある。
(5)本イベント開催に際し、大宗匠をはじめとする裏千家及びユネスコ日本政府代表部に感謝申し上げる。

 

2.佐藤大使スピーチ概要
(1)本日、ユネスコ創設70周年記念の枠組みで、我が国の親善大使である千玄室大宗匠(裏千家)によるお茶会をすることは大きな名誉である。ご出席いただいた皆様に感謝申し上げる。
(2)茶道は500年の歴史を持ち、今日に於いては、人々を最も鼓舞、感動させる日本の伝統文化の一つとして、世界中で実践されている。
(3)大宗匠は92歳であり、この機会のためにはるばる日本から来られた。「一碗からピースフルネスを」との理念のもと、世界の平和と幸福の実現のために、世界中で積極的に活動されている。
(4)「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」というユネスコ憲章全文を想起。茶道の精神が正しく理解され、今次セレモニーにより、皆様の心に平和と調和が育まれることを願う。

 

3.大宗匠スピーチ概要
(1)ユネスコ創設70周年記念に際し、本日、ユネスコ本部においてお茶会を行うことができ幸いである。
(2)ユネスコのマンデートは、教育、科学、文化に亘り非常に重要である。
(3)世界には争いがあり、紛争中の国々には苦しんでいる人々がいる。それらの人々
が平和に暮らせるよう最善を尽くすのが政治家の役割である。
(4)文化の違いはあるとしても、我々は皆人間である。昔から言われているように、人類は一つである。自分は日本人として、日本を大切に思うとともに、日本が各国と付き合い、国家間の様々な問題を乗り越えていくことが大切であると考えている。
(5)500年前に私の祖先の千利休は、一碗のお茶を点てて、差別・区別なく、あらゆる人々に差し上げた。自分自身は、これまでに100カ国近い国々を回り、お茶を差し上げてきた。
(6)人間にとって、最も大切なことは心である。自分より苦しんでいる人、悲しんでいる人を支え、暖かい手を差し伸べてあげて欲しい。
(7)自分は、一碗の中に、心を癒やしてくれる緑の色を作る。本日、皆様にお茶を差し上げる際には、召し上がる前に茶碗の中の緑を見て欲しい。そして、緑と平和を大切にして欲しい。

 

4.これまでのユネスコ、国連関連の献茶式・茶会
(1)東日本大震災追悼・復興レセプション(日時:2012年3月、於:ユネスコ本部)
(2)世界遺産条約採択40周年記念式典(日時:2012年11月、於:京都)
(3)持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議(日時:2014年11月、於:名古屋)
(4)「国際平和の日」に際する国連平和の鐘式典(日時:本年9月、於:ニューヨーク国連本部)

 

(関連リンク)
ユネスコ本部HP: Dr Genshitsu Sen offers a tea ceremony at unesco headquarters to celebrate the 70th

anniversary of the organization

 

 

 

 

 

2015年10月28日: 二村英仁ユネスコ平和芸術家コンサート
「ユース・フォーラム」

 

 

10月28日、ユネスコ本部において、「ユース・フォーラム」(ユネスコ創設70周年記念事業)の一環で、我が国初のユネスコ平和芸術家である二村英仁氏(ヴァイオリニスト)及び各国若手音楽家によるコンサートが開催されました。本コンサートには、各国代表部大使、ユネスコ事務局幹部など約600名が出席しました。
冒頭、二村氏のこれまでの活動を紹介するビデオが放映された後、各国若手音楽家12名と、様々な組み合わせによる合奏が行われました。


また、本コンサート直前、会場付近において、日本スタンドを設けて当代表部主催レセプションが実施され、会場に日本の食文化、観光などの紹介資料を設置するとともに、和食(おにぎり、日本茶)を提供することで、日本文化紹介及び観光アピールを行いました。

 

【当日のプログラム】

  1. 二村氏とMs Emmeline Planche(フランス人、チェロ)及びMs Yani Zeng(中国人、クラリネット)

  2. 二村氏とMr. Ziggy Adam(セイシェル人、ギター)

  3. 二村氏とMs Shintia Dewi、Ms Biru Nitis Anjanie(インドネシア人2名、伝統楽器)及び本山氏(日本人、ピアノ)

  4. 二村氏とMs Sâmara de Oliveira、Mr Yuri Silva、Mr Diego Lopes、Mr Jorge Mendes(ブラジル人4名、ヴァイオリン、ヴィオラ及びチェロ)

  5. 二村氏とMs Jing Crystal Wu(中国人、フルート)

  6. 二村氏とMs Segolene Cogneau(フランス人、ヴァイオリン)

  7. 二村氏ソロ

  8. 最後に、上記参加者全員で合唱・合奏。

 

 

コンサートの様子

日本スタンド

 

日本スタンド

日本スタンド

 

 

  2015年10月5日: 創造都市ネットワーク事業の紹介 (鶴岡市長一行の来訪)

 

10月5日、榎本政規鶴岡市長一行が、同県の文化推進活動のためにユネスコを来訪した際、当代表部にもお立ち寄り頂きました。榎本市長と佐藤大使は、鶴岡市が食部門で2014年に加盟を果たしたユネスコ創造都市ネットワーク事業について意見交換を行い、市長からは世界に和食、精進料理を普及していきたい、将来の食糧不足にも対応するため、鶴岡市の優れた食文化、農業技術を途上国にも広めていきたいといった取り組みについてお話し頂きました。また、市長は鶴岡市の特産であるだだちゃ豆(枝豆)や精進料理が育った豊かな農産業の話をされ、ミラノで開催されている国際博覧会において、鶴岡市もブースを出展したことも伺いました。

 

2004年に創設された創造都市ネットワーク(Creative cities network)は7つの分野(食文化、文学、映画、音楽、クラフト&フォークアート、デザイン、メヂィア・アート)の一つで秀でた創造性のある取り組みをしている世界の都市が加盟し(現在では世界32カ国から69都市)、ネットワークによる各都市の交流から文化産業の創造性、発進力を高めるのを目的とします。都市との経験や知識、人の交換だけでなく、共同事業を立ち上げたりすることで産業振興、地域活性化を目指します。

 

日本からは鶴岡市の他、札幌市(メディアアート)、金沢市(クラフト&フォークアート)、 名古屋市(デザイン)、神戸市(デザイン)、浜松市(音楽)の6都市が加盟を果たしていますが、加盟するにはそれぞれの都市のその分野での実績や国際的な活動や将来的な視野などを示さなければならず、審査は簡単ではありません。

 

今年の2015年の選考においては、日本からは新潟市が食文化、山形市が映画、兵庫県篠山市がクラフト&フォークアートの3都市が申請しており、12月上旬に決定される予定です。

 

関連リンク: 創造都市ネットワーク

 

 

 

 

 2015年10月12日(月)から16日: 『デジタル・ドキュメンテーション 科学技術を用いた遺産保全』

 

10月12日(月)から16日(金)まで、ユネスコ本部にて、一般財団法人「産業遺産国民会議」、内閣官房及び当代表部の共催で『デジタル・ドキュメンテーション 科学技術を用いた遺産保全』が開催されます。本展示会は、国内・海外の産業遺産や、世界の文化遺産の保全・保護に資する最新のデジタル保存技術を紹介するものです。これらの技術を用いれば、稼働中の工場や紛争などで危機に瀕している文化遺産等、一般の人がアクセスすることが困難な遺産を身近に知ることができます。本展示会での最新技術を駆使した映像・画像を通じて、世界各国の文化遺産の価値、保全・保護の重要性について、ユネスコ加盟国の関係者の理解が一層深まることが期待されます。 

 

『デジタル・ドキュメンテーション 科学技術を用いた遺産保全』(パンフレット)

 

 

ポスター

 

 

 [文化] 文化財不法輸出入禁止条約(1970年条約)

の第3回補助委員会会合の開催 (平成2792830日)

 

ユネスコの文化を保護する目的の条約のうち、現在、国際社会の状況を受けて、最もその効果が期待されている一つが「文化財不法輸出入等禁止条約」(通称「1970年条約」)です。例えば、イラクやシリアなどで横行する文化財の略奪に伴い、テロリストの資金源となる不法な文化財売買をどのように防止するかといった問題を扱う、国際的な枠組みです。

この条約の効果的運用を図るため、政府間委員会である「補助委員会」が設置されてます。これは、ごく最近の2012年に設置されたもので、選挙で選ばれた18ヶ国から構成され、日本も委員国です。同委員会においては、条約の運用指針を作成するほか、これまで、国際的に通用する共通文化IDの具体化、文化財が流出した時の国際協力体制の構築などを行ってきました。

 

9月28~30日、この「補助委員会」の第3回会合がパリのユネスコ本部で開かれました。日本からは、国際私法の専門家である香川大学の八並廉准教授や日本政府代表部員が出席しました。今会合では、条約策定時には想定されなかった「インターネット上の不法文化財の売買」と「文書遺産の不法売買」を次会合の優先課題として扱うことが決定されました。また、事務局から現在、紛争下の危機にある文化財の保護に関する活動が報告されました。その他、各国の文化財関連の法律が分かるユネスコデータベースNATLAWSや国連薬物犯罪事務所(UNODC)との協力についても紹介されました。

 

今回の会議で興味深かったのは、イタリアのカラビニエリの特別な文化財保護部隊の活動紹介です。イタリアはこの分野では先進国であり、ユネスコに対して専門家を派遣し、イラクでは盗難文化財の見分け方に関する警察や税関のトレーニング、考古学サイトを保護する警備員のトレーニングなどを行っています。その中で、美術品はそのまま運搬・取引しては直ぐに見つかり、没収されてしまうため、分解したり、ばら売りする例などが紹介されました。

 

1970年条約

 

ユネスコ文化財法律データベース

 

ユネスコ・イタリア大使がカラビニエリの活動を紹介

 

会議場写真:ユネスコ・イタリア大使がカラビニエリの活動を紹介

 

[文化] ユネスコの文書保存活動:アフリカ・マリのトンブクトゥ古文書の保存

 

ユネスコが重要な文書の保存を行っていることをご存じでしょうか。ここでは、その一つをご紹介します。

 

「黄金郷」と呼ばれていた、サハラ砂漠南端の都市トンブクトゥは1990年に歴史地区が世界遺産として登録されています。さらに、そのトンブクトゥには数十万点にも及ぶ重要な「イスラム古文書」があることで有名です。その古文書は13世紀のものまで遡り、内容は哲学、数学、天文学、医学から言語学と多岐に渡っています。

 

2012年から2013年にかけて、マリ北部にイスラム武装勢力が掌握し、霊廟などが破壊され、このかけがえのない古文書も数百点ほど破壊されました。しかし、過激派の破壊から守るために命がけでこの宝の大部分を住民が少しずつ、図書館から持ち出し、首都バマコの安全な場所に移動し、保管しました。 これを今、ユネスコは修復し、もとの図書館へ返還し、デジタル化などの保存事業を行っています。また、当時これらの古文書はその希少価値からバラ売りで闇市場で売買されました。このため、ユネスコはマリ政府に対し、文化財の不法輸出を禁止する法律を導入する支援なども行っています。

 

この古文書の壮大な救出劇をドキュメンタリーにした「トンブクトゥの古文書の足跡を追って」(仏ジャン・クレピュ作)が2015年9月、ユネスコ本部で放映されました。ドキュメンタリーは写本を鉄箱に詰めて、過激派に見つからないように木船で運ぶ緊迫したシーンから始まります。このシーンから、古文書がトンブクトウの人々の誇りであることを感じました。放映後、マリのユネスコ事務所長やマリの学生は「この古文書はマリの誇りだ」、「文化はその国民のパスポートである」、「古文書を燃やすと言うことは我々の歴史を破壊することだ」と語りました。

マリ政府はこれらの古文書をユネスコの世界記憶遺産(Memory of the World)に申請したいとしています。 http://fr.unesco.org/news/film-documentaire-piste-manuscrits-tombouctou-aminata-bore-recue-chef-du-bureau-unesco-bamako

 

 

 

 

 

[文化] 無形文化遺産保護条約の評価機関会合の結果について

 

無形文化遺産保護条約については、我が国は2004年に締約国となり、これまで22件が代表一覧表に記載されています。最近では2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」、2014年に「和紙;日本の手漉和紙技術」が記載されています。


9月9日~10日、ユネスコ本部にて、無形文化遺産保護条約に基づく、代表一覧表ほか各種リストへの2015年サイクル記載申請案件を審査する評価機関会合が開催されました。この評価機関は、本条約の政府間委員会の下に置かれ、世界の6地域からそれぞれ2名(専門家1名及びNGO1名)ずつ選出された委員計12名で構成されています。我が国からはアジア大洋州地域グループの専門家枠に岩崎まさみ北海学園大学教授が締約国による選挙によって選出され、2014年から2年間の任期で委員を務めています。
6月に引き続いて開催された本評価機関会合では、45件の審査結果が取りまとめられ、11月30日からナミビアにて開催される本条約の第10回政府間委員会に提案されることになります。ユネスコ事務局によれば、この審査結果を含む政府間委員会の作業文書は遅くとも11月2日までにウェブサイトにて公表される予定です。
なお、2015年の我が国からの審査案件はありませんが、2016年には「山・鉾・屋台行事」(全国33件の祭りで構成)が審査される予定です。

 

ユネスコ関連サイト
http://www.unesco.org/culture/ich/index.php?lg=en&pg=00009

 

 

 

 

 

 

[教育] 教育2030行動枠組みドラフティング・グループ会合(第1回)の結果について

 

 

平成27年8月31日~9月1日、ユネスコ本部にて、9月の国連総会特別サミットにて採択予定の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」における教育目標に関する行動枠組みドラフティング・グループが開催されました。ユネスコ、ユニセフを始めとする教育関係国際機関などともに、加盟国のアジア大洋州地域グループを代表して、我が国から広島大学教育開発国際協力研究センター長の吉田和浩教授ほか政府関係者が出席し、教育目標の実現に向けた取組の在り方について議論を行いました。

 

本会合においては、行動枠組みに、教育目標を実現するための各国等の取組のほか、国際的なガバナンスやパートナーシップ、モニタリングの在り方についても記載する方向で一致しました。本行動枠組みは、10月1日~2日に開催予定の次回ドラフティング・グループ会合において最終案を作成し、11月4日に開催予定の教育関係閣僚級会合において最終的に採択される予定であり、我が国は引き続き主導的役割を担っていく予定です。

 

 

ユネスコ関連サイト

http://www.unesco.org/new/en/education/themes/leading-the-international-agenda/education-for-all/

 

 

 

 

2015年8月27日:香川県知事の来訪

 

8月27日、浜田恵造香川県知事一行が、同県の文化推進活動などのためパリを来訪した際、当代表部を訪問しました。浜田知事と佐藤大使は、ユネスコ世界遺産などについてと意見交換を行い、知事からは特に「四国八十八箇所霊場と遍路道」の将来の世界遺産登録を目指した香川県の取組ついてお話いただきました。

 

「四国八十八箇所霊場と遍路道」は、徳島県・高知県・愛媛県・香川県の4県からなる四国を全周して、弘法大使ゆかりの霊場を巡る1,400㎞に及ぶ壮大な霊場巡拝です。また、同遍路は弘法大使への「信仰」と修行を実践する「場」、そしてそれを支える「地域」の3者が一体となって、現在まで継承されてきました。

浜田知事と佐藤大使

意見交換の様子

 

 

 

2015年7月21日:姫路市長一行の来訪

 

7月21日、石見利勝姫路市長一行が、同市の文化交流事業などのためパリを来訪した際、当代表部を訪問しました。石見市長と佐藤大使は、世界遺産・姫路城の世界への効果的な発信や、同遺産の適切な保存のための姫路市の取組などについて、意見交換を行いました。

 

姫路城は、国宝四城の1つに数えられ、シラサギが羽を広げたような姿から「白鷺城」の愛称で親しまれており、その大天守は慶長14(1609)年に建築されたものです。1993年、奈良の法隆寺とともに、日本で初の世界遺産に登録されました。

 

 

石見市長一行と佐藤大使

 

 

 

 

2015年7月3日:三重大学の来訪

 

7月3日、三重大学の駒田学長ほか7名が、当代表部奈良臨時代理大使を訪問しました。一行は、パリ日本文化会館において開催された「忍者文化研究プロジェクト レクチャー・デモンストレーション2015」などに出席するため当地を訪れました。

 

駒田学長より、「忍者”Ninja”の知恵を活かした人にやさしい循環型社会の構築」という文理融合型の研究について紹介がありました。また、世界の高等教育機関を結ぶネットワークとしてのユネスコチェアや、UNITWIN(大学間提携計画)など、ユネスコのプログラムを活用した更なる取組みなどについて意見交換を行いました。

 

 

三重大学一行との記念撮影
三重大学一行との記念撮影

忍者に関する研究読本

(写真提供:三重大学) (写真提供:三重大学)

忍者文化研究プロジェクト レクチャー・デモンストレーション2015」
(於:パリ日本文化会館)

 

 

 

2015年61日~12日:世界海洋の日(68日)記念美術展 
『伊東昭義展 奇跡の海』

 

6月1日から12日まで、ユネスコ本部にて、海洋写真展「伊東昭義展 奇跡の海ーMiracles Under The Waves」が開催され、ボコバ事務局長ほか、事務局幹部や各国代表部の関係者が多数鑑賞しました。本写真展は、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)の招きにより、6月8日の「世界海洋の日(World Oceans Day)」を記念して行われ、沖縄の美ら島大使でもあるフォトアーティストの伊東昭義氏の海の作品(慶良間(けらま)諸島、伊豆など)が展示されました。

 

伊東昭義氏とボコバ事務局長

伊東昭義氏とボコバ事務局長

kaiyou1 http://www.unesco.org/new/en/unesco/events/prizes-and-celebrations/celebrations/international-days/world-oceans-day-2015/wod-celebration-2015/

『伊東昭義展 奇跡の海』展示作品(会場:パ・ペルデュホール)

『伊東昭義展 奇跡の海』展示作品(会場:パ・ペルデュホール)
『伊東昭義展 奇跡の海』展示作品(会場:パ・ペルデュホール) 『伊東昭義展 奇跡の海』展示作品(会場:パ・ペルデュホール)

『伊東昭義展 奇跡の海』展示作品(会場:パ・ペルデュホール)

 

 

 

 

 

2015年5月5日 : クールジャパン「日本人の智恵」

 

5月5日、ユネスコ本部に於いて、当代表部と一般財団法人本願寺文化興隆財団の共催事業「クールジャパン:日本人の智恵」が行われました。本事業では、大谷暢順同財団理事長及び中根一幸外務大臣政務官による挨拶、トマ・パリ市長代理による祝辞に続き、①狂言解説・レクチャー/デモンストレーション、②人間国宝である野村万作氏一門による狂言上演、③シンポジウム「クールジャパン:日本人の智恵」(パネリスト:山東昭子参議院議員、大谷理事長、新美外務省文化審議官、ピット・ソルボンヌ大学(パリ第4大学)元学長)、④DVD「日本人の知恵」等上映、⑤ジャポニスム振興会パリ支部発足記念コンサートが行われました(全体司会者:グリオレ・フランス国立東洋言語文化大学日本言語文化学部教授)。
本イベントには、本邦より来訪した日仏友好議員連盟所属の石井正弘参議院議員及び二之湯武史参議院議員に加え、各国ユネスコ代表部大使、ユネスコ事務局関係者、文化関係者、日本関連機関関係者等を含め約500名が出席し、ユネスコ本部で最も収容人数の多い本会議場一階席をほぼ埋め尽くす程の大盛況となりました。多数の出席者より、プログラム全体を通じ、日本人の精神性を含めた多様な日本文化の魅力につき理解を深めることができたとの声が聞かれました。

石田幸雄氏による狂言解説・レクチャー/デモンストレーション

 

野村万作氏(人間国宝)一門による狂言上演

 

野村万作氏(人間国宝)一門による狂言上演

 

シンポジウム「クールジャパン:日本人の智恵」
((左から)モデレーター:グリオレ・フランス国立東洋言語文化大学日本言語文化学部教授、

パネリスト:大谷理事長、山東昭子参議院議員、新美外務省文化審議官、

ピット・ソルボンヌ大学(パリ第4大学)元学長)

 

ジャポニスム振興会パリ支部発足記念コンサート

 

DVD「日本人の智恵」上映

 

会場の様子

 

 

 

 

2015年48日~23日:第196回ユネスコ執行委員会

 

4月8日から23日、第196回ユネスコ執行委員会が開催されました。執行委員会は、ユネスコのプログラムや予算を検討するために年に2回、執行委員国(58か国:任期4年)の代表が集まり議論を行う会議であり、我が国は 1951年のユネスコ加盟の翌52年から継続して委員国に選出されています。


13日に行われた全体会合では、ボコバ・ユネスコ事務局長の開会演説(原文)に続いて各執行委員国の演説が行われ、佐藤大使からは、文化・教育・科学等の分野におけるユネスコへの日本の貢献、役割等について言及しました(原文)。


今季執行委員会では、次期2カ年予算(2016~2017年度)、ポスト2015年教育アジェンダやその行動枠組のあり方について話し合いが行われたほか、ISILを始めとするテロリストによる攻撃に晒されるイラクやシリア等紛争地域の文化財保護、ジャーナリストの安全、体育・スポーツに関する国際憲章の改正等、現在の国際社会においてますますユネスコの役割が高まる分野に関して、加盟国間で活発な議論が行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボコバ事務局開会演説
全体会合で演説を行う佐藤大使

全体会合で演説を行う佐藤大使
© UNESCO / C. Bailleul

ボコバ事務局開会演説

© UNESCO / C. Bailleul

執行委議長による総括

 

議場の様子

執行委議長による総括

© UNESCO / C. Bailleul

議場の様子

© UNESCO / C. Bailleul

 

 

 

2015年4月8日:「シリア・イラク危機に対するユネスコの取組みに関する情報会合」(於:ユネスコ本部)

 

イラク、シリアでISILの文化財破壊行為が続く中、ユネスコ事務局においてユネスコの取り組みを説明する情報会議が開催され、多くの加盟国が出席しました。「現在、イラクやシリアで起こっている惨事を私は文化浄化(Cultural cleansing)と呼び非難している。仏のファビウス外相は文化虐殺(Cultural genocide)と称した。」会議の冒頭、ボコバ事務局長は加盟国に訴えました。イラクやシリアでISILの文化財破壊が続いている中、ユネスコは、テロリストの資金源となっている文化財の不法な収奪や博物館収蔵品の輸出入の取り締まり、流出する難民への教育支援などに取り組んでいます。その中でも日本が2月に補正予算で150万ドルの拠出を決定したバグダードにあるイラク国立博物館における予防的対策のためのプロジェクトは時宜を得た支援として、事務局や加盟国から謝意が表明されています。この事業は、差し迫った危機に晒されているイラクの博物館や考古学的価値のある史跡を守るために、収蔵品の緊急移転や史跡の保護支援、文化財の目録作りなどと様々な取り組みを行うものです。目録が整ってないため、大量の盗難にあった場合に収蔵品を取り戻す術がなくなるといった事態を防ぐこともできます。
2015年2月12日に国連安全保障理事会で採択された決議2199においてはユネスコはイラクとシリアの文化的財産を守る適切な措置を取るように要請されています。ボコバ事務局長は昨年以来自ら2度イラクを訪問し、若者を中心にイラクの文化財保護を呼びかける「Unite4Heritage」キャンペーンを立ち上げたり、インターポールや国際博物館会議、世界税関機関など関連機関に呼びかけ、不法輸出取引に関する情報交換や対応の調整を行ったり、様々な取り組みを行っています。人類共通の遺産であるイラク、シリアの文化財の保護のためユネスコとともに日本は支援を行っていきます。

 

 

破壊されたサイト Confiscated statue from the site of Palmyra
破壊されたサイト ©UNESCO / Prof.Abdulkarim Confiscated statue from the site of Palmyra © UNESCO (シリア)

会場の様子

 
会場の様子 © UNESCO / P. Chiang-Joo  

 

 

 

2015年4月2日 : 佐藤大使の信任状提出

 

4月2日、佐藤大使はボコバ・ユネスコ事務局長へ信任状を提出し、ユネスコ日本政府代表部特命全権大使として正式に着任しました。ボコバ事務局長は、佐藤大使の着任を心から歓迎し、これまでのユネスコの活動に対する日本の協力に改めて謝意を表明しました。佐藤大使からは、日本とユネスコ間の協力関係を更に発展させるべく、ボコバ事務局長と連携しつつ、引き続きユネスコの活動に積極的に参画・貢献していきたい旨述べました。

佐藤大使 佐藤大使

© UNESCO/P. Chiang-Joo

© UNESCO/P. Chiang-Joo

 

佐藤大使

© UNESCO/P. Chiang-Joo

 

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