令和6年7月24日:ユネスコ・スポーツ大臣会合 "UNESCO “Change the Game” Global Sport Conference 盛山正仁文部科学大臣スピーチ

令和6年7月24日
ユネスコ・スポーツ大臣会合
盛山文部科学大臣 発言
UNESCO “Change the Game” Global Sport Conference
 
質問
盛山大臣、日本にとってはスポーツを通じたレガシーの創出、とりわけ東京2020大会のレガシーの創出は重要なトピックであったと思います。ユネスコは、大規模スポーツ大会における持続可能性とレガシー創出のための計画の重要性という観点からこうした目的を共有しています。東京大会の計画段階から織り込まれていた持続可能性のための取組、東京大会のスポーツレガシーを継承するイニシアチブについてお聞きできますでしょうか。
 
回答
  • ご質問ありがとうございます。前回のオリンピック・パラリンピック大会の開催国を代表して、東京大会のレガシーを世界に共有できることを光栄に思います。東京大会は、新型コロナウイルス感染症 により大会が延期になり、大会の開催すら危ぶまれた中で、多くの関係者の尽力により安全・安心な大会を実現できました。東京大会はコロナ禍においてスポーツの価値を世界に示しました。東京大会のレガシーがパリ大会へ引き継がれていることを嬉しく思います。
 
  • さて持続可能性についてですが、東京大会は「より良い未来へ、ともに進もう(Be better, together)」をコンセプトに掲げ、大会開催の約5年前に持続可能性に関する5つの主要テーマを選定し、取組を進めました。その結果、ゼロカーボン大会の実現や再生可能エネルギーの電気使用率100%をはじめ様々な目標を達成しました。
 
  • 象徴的な取組として、国民から寄付されたスマートフォンなど使用済み小型家電から、大会の5,000個全てのメダルを製作しました。ジェンダー平等に関して、東京大会はオリンピック出場選手に占める女子選手の割合が史上最高の48%となりました。このことは、パリ大会で完全な男女半数が達成される道を開いたものと考えています。
 
  • また、共生社会の実現に向けて、誰もが安全で快適に移動できるユニバーサルデザインの街づくりの実現、誰もが相互に尊重し支え合う心のバリアフリーの実現、パラスポーツの振興に向けて国民全体を巻き込んで取り組みました。
 
  • その結果、全国の交通機関や道路、ホテルや飲食店、競技会場のバリアフリー化を通じたユニバーサルデザインの街づくりが飛躍的に進むとともに、障害者のスポーツ実施率が向上し、市民のパラスポーツへの関心度や民間企業における障害者雇用数が増加しました。
 
  • このように、我が国は東京大会を「持続可能な社会のショーケース」と位置づけ、そのレガシーを国民生活に還元するとともに、パリ大会とその先の大会へ引き継ぎます。
 
  • 次に、文部科学省の主導によるスポーツレガシーを継承するイニシアチブを二つご紹介します。
 
  • 一点目は「ハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへ」です。東京大会を通じて得られたハイパフォーマンス分野の科学的知見を国民一般に活用することは、国民の健康増進やウェルビーイングの向上に寄与できると我々は考えています。
 
  • 東京大会では、医師、歯科医師、看護師、理学療法士など、さまざまなスポーツ医科学の専門家が切れ目なく連携し、選手村で高度なサポートを提供した結果、選手の運動機能の向上に寄与する多くの科学的知見が得られました。大会後、これらの知見を国民の活用することを目的とした実証研究を実施し、腰痛の軽減や運動機能の向上が確認できています。
 
  • 次に、「スポーツ・フォー・トゥモロー (Sport for Tomorrow)」は、あらゆる国々や世代にスポーツの価値を広めることを目的として2014年に立ち上げた日本発のスポーツ国際交流・協力事業です。これまで204の国・地域で1,300万人を超える人々へスポーツの価値を届けてきました。
 
  • 現在は海外のアスリート支援やスポーツ専門家の能力構築に重点を置いており、例えばウクライナの柔道、体操、パラトライアスロンなどの選手団を日本へ招へいし、日本の選手団との合同トレーニングや大会参加を支援する事業を行っています。支援したアスリートの中にはパリ大会へ出場している選手もいます。
 
  • 最後となりますが、日本は東京大会及び将来の大規模スポーツ大会の開催国として、スポーツを通じた持続可能な社会の実現に向けた世界の歩みをリードする取組を推進してゆくことを約束します。