ユネスコで活躍する日本人職員 古舘 尚史(ふるだて・たかし)さん
令和6年3月28日
- これまでのご経歴と現在のお仕事の内容についてお教えください。
文部科学省では、青少年の国際交流の推進、国際教育統計に係る調査、国際機関との調整業務等に携わってきました。
現在は、Strategic Partnerships and Donor Relationsという課に所属し、日本を始めとする政府機関からの任意拠出金(ユネスコ全体の運営を支援するため各国に負担いただいている分担金ではなく、教育や科学、文化といった特定のプロジェクトを実施するための拠出金)の執行管理を支援しています。
具体的には、ドナーである各国政府のニーズの適切な把握に努めるとともに、その内容をユネスコの事業担当者に伝え、事業計画書がドナーの意向を十分に反映しているものとなっているかを精査し、必要に応じ担当者と一緒に修正します。また、事業計画書がドナーに承認された後、ドナーとユネスコで締結する協定文書について、双方の機関の法律や規程等に即しているかを確認する作業を行っています。加えて、各国の任意拠出金に係る事業の成果を、より多くの皆さんに知っていただけるよう、ビジビリティの向上に資する取組も進めています。
日常業務としては、諸様式や電子システムに関する質問や各国の支援状況に関する照会への対応、上司の決裁を得るために書類を作成する仕事がその大半を占めており、着任前の予想以上に、日本の行政機構と似通っていると感じています。
- ユネスコ(国際機関)でのお仕事を目指されたきっかけをお教えください。
- ユネスコで働くやりがい・大変さはどの様なところにあるのでしょうか?
このような困難な調整業務に従事するにあたっては、両者の意向を丁寧に汲み取り、関係者全員が納得できる代替案を提案することが調整者にとって大切であるという、文部科学省時代での学びが役に立っていると感じています。
言語や文化といった背景が異なる職員に納得してもらえるためには、代替案の内容のみならず、その提案方法やプロセスまで熟慮する必要があり、思うようにいかないことも多々ありますが、多様な背景を尊重しながら一つの目標に進むという点は国際機関ならでは醍醐味であり、ドナーと事業担当者双方が納得して事業が前進したときは、大きな達成感を感じます。
- これからユネスコでの勤務を目指す方へのメッセージをお願いいたします。
また、ユネスコにおいても、「世界遺産」の取組を世の中に浸透させることはできた一方で、教育や科学、スポーツといったその他の取組に関する認知度を、世界規模で一層高める必要があるという課題を抱えています。
これらの状況を踏まえると、ユネスコには、皆さんが活躍できる「フロンティア」がまだまだ残されていると言えるのではないでしょうか。皆さんがこれまで培った専門性等を生かしユネスコで活躍されることは、ユネスコの活動を通じて世界の諸課題解決に寄与するだけではなく、我が国の国際社会におけるプレゼンス向上にも貢献するものであり、非常にやりがいのある職場だと考えています。
ユネスコでの勤務は採用方法の種類により、日本国内での就職と比較しリスクが高いことも事実ですが、勤務後に仮に別のルートに進んだとしても、必ず役に立つ経験ができる機関であると信じており、勤務を目指す方のチャレンジを心から応援いたします。