ユネスコで活躍する日本人職員 日下 高徳(くさか・たかのり)さん
令和6年3月29日
- これまでのご経歴と現在のお仕事の内容についてお教えください。
現在は、ユネスコ教育局のESD(Education for Sustainable Development)課で勤務をしております。ESDとは、ESDとは、現在世界において、人類の開発活動に起因する様々な問題(気候変動や貧困の拡大等)を自らの問題として主体的に捉え、人類が世代を超えて恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組むことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う教育活動のことを指します。つまり、持続可能な社会の創り手を育む教育のことを指します。この理念のもと、SDGsの各目標とESDの強い結びつきを意識しながら、世界各国でESDを推進するための様々な業務に取り組んでおります。特に私は、「日本ESD賞」という日本政府の基金に基づくプロジェクトに携わり、世界各国の様々なESDのグッドプラクティスを選考・表彰し、コミュニケーションツールとして世界に発信する業務を担っております。それ以外にも、ESD-NetというESDを推進する国・機関・人々のネットワーク構築にも携わり、昨年12月末には東京でその第1回世界会議を開催し、ESDの世界的な推進を加速させるきっかけ作りに貢献できたことは鮮明な記憶として残っております。
- ユネスコ(国際機関)でのお仕事を目指されたきっかけをお教えください。
こうした経験の中で、人の人材育成に携わりたいという気持ちが強くなり、紆余曲折を経て御縁があり文部科学省に入省いたしました。入省後、現在のユネスコのポストがあることを知り(しかも若手のうちから派遣してもらえるということも含め)、なかなかない機会、かつずっと働いてみたかった国際機関でのポストなので、人事の方に事あるごとに国際機関への派遣を希望していることをアピールし、5年目で派遣してもらい今に至っております。
- ユネスコで働くやりがい・大変さはどの様なところにあるのでしょうか?
ユネスコで働く大変さは、上述の多様性の裏返しになるかもしれませんが、一つのコンセンサスを取ることが難しい、あるいはそこまでのプロセスに時間がかかるということが挙げられるかと思います(加盟国の会議だけでなく、組織の中での事務手続きも含めて)。ですが、これは大きな国際機関としては避けては通れないプロセスだとは理解しているので、そのように時間がかかるということを理解したうえで、あらかじめ計画的に行動し、忍耐力を持って粘り強く仕事に取り組み必要があることは重要だと日々実感しております。そして、当然ながら予定通りいかなかったり、急な対応が発生するようなこともありますが、そういった状況でもチームや上司と相談しながらできることから解決していく働き方は、大変さもありますがやりがいもあります。
- これからユネスコでの勤務を目指す方へのメッセージをお願いいたします。