ユネスコで活躍する日本人職員 西村 紘明(にしむら・ひろあき)さん

令和8年4月24日
Mr.Nishimura
  • これまでのご経歴と現在のお仕事の内容についてお教えください。
 
 2025年9月末より、国土交通省からの出向という形で、UNESCO自然科学局(Natural Science Sector)の防災ユニット(Disaster Risk Reduction Unit)に勤務しています。
 地震、水害、ハリケーン、山火事などの自然災害に脆弱な国々に対し、防災・減災の取組を推進し、世界の防災力の向上に携わっています。
 具体的には、日本をはじめ地震防災の知見に優れた国々とのプラットフォームを構築し、その知見を国際的に共有・展開すること、災害後のインフラの緊急点検の推進、AIを活用した災害リスク評価などの取組を各国で進めています。
 国土交通省ではこれまで、様々な地震や水害等に対し、建築基準の整備やまちづくりの観点から、また、障害者・女性・子供等の災害弱者への対応というインクルーシブな観点からも、防災政策の推進にも携わってきました。なお、私自身も幼少期に阪神・淡路大震災を経験し、発災時の記憶やその後の生活、復興に至る過程を実体験として有しています。
 こうした災害先進国である日本での経験と知見は、UNESCOにおける防災・減災に係る業務において、具体的な災害像を持って取り組むことに活かされていると感じています。

 
 
  • ユネスコ(国際機関)でのお仕事を目指されたきっかけをお教えください。
 
 国土交通省において、建築・まちづくり行政やバリアフリー政策のより一層の推進を検討する際には、諸外国の制度・状況との比較を踏まえる必要があります。その検討過程で、各国政府や関係機関・関係団体との調整・交渉、現地調査を行う経験をさせていただき、国際的な視点の重要性を実感しました。そうした経験を通じて、もし機会があれば、将来的に国際機関での勤務にも挑戦したいと考えるようになりました。また、国内留学の機会により、世界各国から来たミッドキャリアの行政官や専門家と共に学ぶ環境に身を置いたことで、その志向はさらに強まったと感じます。
 そのような中で、出向という形で、UNESCOで勤務する機会を得ることができました。
 
 
  • ユネスコで働くやりがい・大変さはどの様なところにあるのでしょうか?
 
 国際機関では対象が全世界に及ぶため、日本の行政では得られない多様な経験を積むことができています。また、日本における防災の課題が、国際的には非常に高いレベルにあることを改めて認識しました。一方で、防災体制が十分に整っていない国に対して、日本の制度や技術をそのまま適用することはできません。AIなどの先進技術に加え、基礎的な防災意識の向上といった様々な政策手段を組み合わせながら、それぞれの国の状況に応じた対応を行うことが求められます。
 一方、国際機関は日本の行政機関のように国内政策を直接実施する立場にはないため、政策のインパクトをどのように確保するかに難しさを感じることもあります。また、多様な国籍・文化的背景・価値観を持つ人々と協働するため、丁寧なコミュニケーションと相互理解を前提に業務を進めることの重要性や、想定外の事態に対しても冷静に対応する姿勢の重要性を認識しました。
 
 
  • これからユネスコでの勤務を目指す方へのメッセージをお願いいたします。
  
 私は日本の省庁からの出向という形でUNESCOに勤務していますが、UNESCOでは多様なご経験を持つ方々が、さまざまな経路を経て、働いています。
 UNESCOに関心をお持ちの方は、まずは積極的に情報収集を行い、一歩踏み出して行動することが重要だと思います。
 その経験は、たとえどのような進路につながったとしても、ご自身の視野を広げ、人生を豊かにするものになると考えます。