ユネスコで活躍する日本人職員 野崎 あかね(のざき・あかね)さん
令和6年3月29日
- これまでの経歴と現在の仕事の内容
先日、ユネスコ日本代表部でのリセプションで、標準語を使っていたつもりだったのですが、「関西ご出身ですよね」と言われてしまいました。確かに私は京都出身なのですが、アメリカ、フランス、中国、タイと海外での生活が30年以上になります。
両親の仕事の関係や、母親が日系アメリカ人3世であることから、幼少期にテキサスとペンシルベニアで過ごした時期があります。その経験から、異文化への興味と理解が生まれたのかもしれません。高校卒業後は、自然と大学は海外に行くつもりでした。サンフランシスコ大学とニューヨーク大学で学士課程を、修士課程はパリ大学で修了しました。
2002年からユネスコ本部の文化局の世界遺産センターで勤務を始め、対外関係協力局でも経験を積みました。香港での2年間の育児休暇を経て、2013年からは、ユネスコのバンコク事務所で広報担当のチームリーダーとして活動しました。2022年には本部へ戻り、現在は表現の自由、メディア開発、ジャーナリストの安全などに取り組んでいる情報・コミュニケーション局で、事務局長補のスピーチライティングやウェブサイト記事の添削、広報プロジェクトのコーディネートを担当しています。
- ユネスコ(国際機関)での仕事を目指したきっかけ
大学では美術史や考古学を専攻していた過程で、文化を担当する唯一の国連機関であるユネスコの活動に興味を持ったのが、始まりです。
- ユネスコで働くやりがい・大変さ
自分達の歴史地区や文化遺産がユネスコに認められたことを誇りに思っている人たちと話したりすると、自分もユネスコの一員であることを誇りに思います。また、アフガニスタンやウクライナ、ガザのような紛争地域で、ジャーナリストの安全や女性支援のような世界的な社会問題に取り組むプロジェクトの一端に少しでも関わっていると感じられる時はやはり嬉しいです。広報活動の中では、ハリウッド俳優やノーベル賞受賞者、K-popのアイドルなどが、ユネスコのメッセージを世界に発信してくれるのも、ユネスコの活動の重要さを再確認させてくれます。
ユネスコでの仕事の難しさは、色々な人種や文化的、宗教的背景を持つ人達と働く中で、文化や政治に関する日本人との違いやセンシティブな問題を理解しておく必要があることかと思います。でもそれも国際機関で働く魅力の一部です。全体的に見れば、恵まれた環境で、多様な同僚達と一緒にやりがいのある仕事をさせてもらっていることに感謝しています。
ただ、パリの暗くて長い冬はいつまで経っても苦手で、一年中、暖かかったバンコクで働いていたのが特に恋しくなる時期です。
- これからユネスコでの勤務を目指す方へのメッセージ
国際機関での仕事を目指す際には、英語やフランス語のスキルはある程度必要で、日本人が苦手とする自己主張が求められることもあります。でも日本人らしい丁寧な働き方や、勤勉さ、礼儀正しさなどの美徳も、ちゃんと評価され、色々な国籍の同僚との仕事にも大切なものですので、どうか日本人としての自信を持って挑戦なさってください。